伊能忠敬は史上初の正確な日本地図を描いた人である。
そこで、「駅から劇場まで」の道のりを、伊能忠敬と同じ方法で測量してみることにした。
@ まずは役割分担。

距離担当・丹羽隆博。酒飲み。

距離担当・愛梨。エルモが大好き。

方位担当・金子優子。水谷豊が大好き。

方位担当・古崎彩夏。最近はサバゲーにご執心。

撮影担当・辻明佳。趣味が多くて忙しそう。

総指揮&製図・森山智仁。つい先日、半身浴に目覚めた。
距離・方位の担当が二人ずついるのは、人手が余っているからではない。
平均を取って少しでも誤差を減らす為である。
A 下ごしらえ。距離担当の二人の歩幅を計測する。
B いざ測量!
用いるのは「導線法」と呼ばれるシンプルな測量法。
「何度の方角に何メートル(何歩)進んだ」という記録をひたすらつけていく。
これの繰り返しである。
方位の測定はスマホのコンパスを使ったのだが、実はこれ、非常にデリケート。
近くに大きな鉄の塊などがあるとすぐ狂ってしまう。
つまり車がびゅんびゅん走るところでは正確な測定が難しい。
坂道の勾配は手製の「簡易象限儀」で測る。
分度器に切り込みを入れてテグスを引っ掛け、おもりをぶら下げたもの。
機構は単純だが伊能忠敬が使った「象限儀」と理屈は同じである。
分度器のまっすぐなところで、竹刀の先端からもう一方の竹刀の先端を狙う。
その時テグスの示す角度がその坂の勾配となる。
ちなみに象限儀は天体観測にも使われていた。
「北極星の南中高度」を測ればその地点の「緯度」がわかる。
伊能忠敬の地図が正確なのは、しつこいぐらい天体観測をしたからなのである。
ちなみに僕はこの日に先駆けて、東京都板橋区の自宅から千葉県佐原市の伊能忠敬記念館まで、1人で4日間かけて約70kmを測量しながら歩いた。
伊能忠敬の気持ちになってみたかったのである。
くそしんどい、ということがわかった。
旅行中、劇団員たちはほとんど誰も応援のメッセージを送ってくれなかったのだが、この測量体験を通じて少しは僕の苦労(徒労)がわかってもらえたようなので良かったと思う。
C 測量隊は解散し、僕は自宅で製図を行う。
歩数×歩幅で距離を出す。
それから、方位と距離、2つずつ取った数値の平均を出す。
必要な数値が揃ったら製図開始。
縮尺は1/2000、つまり1cm=20mとする。
数値通りの角度に、数値通りの長さの線を引いていくだけ。
そんなに難しいお仕事ではない。
※本来、坂道は三角関数を用いて「平面距離」を出すべきなのだが、今回は割愛。
何の目印も書いていないが、「何度の方角に何メートル進む」という歩き方でも、劇場に辿り着くことは可能なはずである。
でも、さすがに目印なしでは不親切なので、目印を入れたものも別に作ることにした。
この時、地図の「複写」も伊能忠敬と同じ方法でやってみた。
紙を重ねて、曲がり角に針で穴を開ける。
そうすれば針穴を結ぶだけで正確に複写できるのである。
D 最後に。
僕たちは測量に関して素人です。
正しい地図は劇場の公式サイトでご覧下さい。